ステロイド薬の作用とは?
ステロイド薬は体内でどのように作用するのでしょうか?
ステロイド薬は、血液から目標の細胞に入りステロイド受容体と結合します。細胞の遺伝子を読み取り調節することで、タンパク質の量を増減させます。体内のさまざまなタンパク質の量を調節し、抗炎症作用や代謝作用、免疫抑制や抗アレルギー作用を発揮します。
ステロイド薬がもつ抗炎症作用
炎症とは、有害な刺激を受けた組織などを修復したり、保護する生体反応です。炎症を起こした部分は、赤くなったり、熱をもったり、痛んだり腫れるなどの症状があらわれます。その部分の細胞や毛細血管から炎症にかかわるサイトカインという物質や炎症を活性化させるプロスタグランディンという物質が分泌されます。
ステロイド薬は、炎症にかかわるサイトカインやプロスタグランディンがつくられる化学反応や作用を防ぐことで、炎症を抑えます。また、炎症を重くする白血球の働きを抑えたり、血管の透過性を抑える作用もあります。
ステロイドと代謝の関係
ステロイドホルモンは、代謝の働きに大きくかかわります。代謝は、糖や脂質、骨などの分解や合成にかかわるので、ステロイド薬を使うと体にさまざまな影響があらわれます。ステロイドは、血糖の量を増やすように作用します。また、筋肉組織などが糖を利用するのを妨げたり、肝臓が糖を合成する働きを高めるように作用します。
したがって、ステロイド薬を服用すると血糖値が上がるのです。肝臓も正常に働かないので、血糖値を下げようとするインスリンとステロイドのバランスが崩れ、糖尿病になることがあります。
ステロイドには、血中のコレステロールや中性脂肪の値を上げたり、骨量を減らす作用があります。これらの作用により中心性肥満や骨粗鬆症になる人がいます。
ステロイド薬の代謝作用により、体に変化があらわれることが多いです。しかし、薬の量が減るにつれて症状は改善していきます。
免疫抑制や抗アレルギー作用
ステロイド薬には、免疫やアレルギーを抑える作用もあります。免疫の働きの中心は、白血球中のリンパ球です。リンパ球は、体内にウイルスなどの異物が入ってくると、この異物を分解や処理をするように働きます。
アレルギーは、免疫の働きに異常が起こった状態です。通常では、外敵にならない花粉やほこりなどの物質に過剰に反応します。
ステロイド薬は、免疫にかかわるリンパ球の相互作用を抑えたり、リンパ球がつくり出す抗体の量を減少させる作用があります。この作用が免疫やアレルギーを抑えるのです。
まとめ
ステロイド薬には、ほかの薬よりも強い抗炎症作用があります。炎症の原因物質であるサイトカインやプロスタグランディンの作用を防ぐことで、炎症を抑えます。炎症を重くする白血球の働きも抑えます。また、白血球の中にあるリンパ球の働きにも作用するので、免疫抑制や抗アレルギー作用にも期待できます。
ステロイドホルモンは、代謝に大きくかかわるので、ステロイド薬を使っていくうちに体に影響があらわれてきます。
血糖値が上がるので糖尿病になったり、骨量が減るので骨粗鬆症になったりします。
さらには、脂肪代謝にも作用します。コレステロール値や中性脂肪の値が上がるので肥満になります。ステロイド薬による肥満は、体の中心部の脂肪が増えて、四肢の脂肪が減るという特徴があります。
ステロイド薬のメカニズムは複雑で難しいといわれています。今回は、ステロイド薬の作用を簡単に説明しました。
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